嘘八百日記

このブログ記事は全てフィクションです。

閉鎖病棟ニュース(閉鎖病棟入院記⑦)

〇洗面所で排尿、男を隔離病棟に拘禁

病棟内の共用の洗面所で昨晩、301号室の柴田勝則(52)が排尿をしたため、看護師らが男を隔離病棟に連行した。 

調べによると、7月5日午後9時30分ごろ、共用の洗面所にて男が陰部を露出し、洗面所内の洗面ボウルに排尿しているところを同病棟の女性患者が目撃し、ナースステーションに通報をしたようだ。男は通報により出動した看護師らにより、そのまま隔離病棟へ連行された。男は連行後、「トイレでしたつもりだった」などと供述しており、反省の色は全く見えなかった。

男が入る病室付近の患者の証言によると、男は普段から奇妙な行動をしていたようだ。女子トイレに侵入し、トイレットペーパーを盗んだり、そのトイレットペーパーを用いて共用の洗面所内で丸出しにした臀部を拭いたりしていたらしい。

看護師らにより当洗面所の洗面ボウルはすぐに徹底消毒され、使用できる状態まで洗浄された。

 

〇15歳の少年、開放病棟

昨日、閉鎖病棟に入院中だった高橋真澄くん(15)が、開放病棟へ移動していった。 

高橋くんの主治医によると、高橋くんは数日前から病状が安定してきており、閉鎖病棟から開放病棟に移動しても問題ないと判断したそうだ。

開放病棟閉鎖病棟よりも、外との行き来や持ち込む物品の制限が緩和されており、患者の出来ることが大幅に増える。

高橋くんは入院前、不安症状から自傷行為を繰り返しており、それを心配した親が彼を精神病院に入院させた。 医師の診断では双極性障害だった。 閉鎖病棟で数週間治療を続けた結果、絵を描くことや本を読むことなど、自傷行為以外の不安を解消する方法を見つけることが出来たらしい。

高橋くんは病棟内で出来た友人達に見送られ、笑顔で閉鎖病棟を出ていった。

 

アサガオ満開、カレンダー作り

本日午前9時30分から、月に一度の病棟内での作業療法が行われた。

作業療法は、手芸や運動などの作業活動を通して心身の機能の維持・向上を図る治療法だ。

今回は作業療法士の指導の元、参加希望した患者5人で7月のカレンダーを作った。

カレンダーの数字を書く人、折り紙でアサガオセミを折って飾る人と、患者の中で役割分担をして作業を進めていた。

途中、参加していた男性患者の鈴木さん(54)の失踪(後に病室の冷蔵庫内から発見された)や、女性患者の長谷川さん(49)が乱入し、松崎しげるの『ルビーの指環』を熱唱するなどのハプニングもあったが、無事に完成することができた。

患者一人一人が作った、個性豊かなアサガオセミで飾られた、賑やかで夏らしいカレンダーは、食堂に貼られることとなった。