嘘八百日記

このブログ記事は全てフィクションです。

異常独身男性の憂鬱

異常独身男性の憂鬱⑦

「ん、……ぁっ」 「ここがいいんですね……? 」 「あっ、は、ぁ…… そこ、きもちいい、ですっ…… 」 村雨さんの嬌声がリビングに響く。部屋は間接照明のみがつけられており、暖色の柔らかな光が彼女の肢体を艶めかしく照らしていた。 「じゃあ、ここなんてどうで…

異常独身男性の憂鬱⑥

デパートを出てから、俺たちは一息つくために駅から出てすぐの所にある喫茶店に来ていた。 チェーン店なのだが、コーヒーの豆にこだわっているらしく、価格が高めであるからか客の年齢層が高く、繁華街の中であるというのに落ち着いた雰囲気であった。 村雨…

異常独身男性の憂鬱⑤

村雨さんの服を買い終えた俺たちは店を出た。 「私の買い物にお付き合いいただきありがとうございます」 「いえ、 俺が役に立ってたのかどうかって感じでしたけど…… 」 俺がしたことといえば、新しい服に着替えた村雨さんを眺めて呆けることぐらいだったのだ…

異常独身男性の憂欝④

その日の深夜。 俺は自室で寝ていたのだが、尿意を催してしまったので、眠い目をこすりながら手洗いに向かった。 俺の部屋から廊下を挟んで向かい側に村雨さんの部屋がある。なので、トイレに行く途中に彼女の部屋の前を通るのだ。 この扉の向こうで村雨さん…

異常独身男性の憂鬱③

今日は出社日だった。仕事を終え、会社を出る頃には辺りはすっかり暗くなり、街灯が寒々しく道を照らしていた。 身を切るような寒さに耐え、何とか帰宅した。冬の日の夜に外を出歩くのは、寒がりな俺にとっては命をすり減らしているようなものだ。 かつて住…

異常独身男性の憂鬱②

「こんにちは。私、異常独身男性監視委員会の村雨と申します。本日はどうぞよろしくお願いしますね」村雨と名乗るその女性は柔和な笑みを浮かべている。その言葉さえ聞かなければ、素直に可愛らしいなと思えるのだが、今はそれどころではなかった。「異常独…

異常独身男性の憂鬱①

俺は自分が異常独身男性という自覚がある。彼女いない歴=年齢、特定の友人もおらず、女性に相手されたことも無い。明確な定義がある訳では無いが、その自覚がある以上、俺は異常独身男性なのだ。今回はそんな俺が巻き込まれた、ある事件について書こうと思…